卒業生より
大河原陽子さん (Yoko Okawara) 2011年3月卒業 (学部)
現在:琉球大学大学院理工学研究科 海洋自然科学専攻
卒業研究ではニホンイタチにみられる食性の雌雄差をテーマとしていました。卒業後は、在学中に長崎県対馬の独特の生態系に魅力を感じていたことから、対馬をフィールドとする琉球大学の大学院に進学しました。現在はツシマテンの果実利用について研究しています。対馬にはツシマヤマネコ、ツシマテン、チョウセンイタチの3種の中型食肉目が生息していますが、ツシマテン、チョウセンイタチに関する知見は非常に限られています。競合関係にあると考えられるこの3種間の関係について、更なる理解を深めることを目標に、これからも研究を続けていくことができたらと思っています。
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蔵本洋介さん (Yosuke Kuramoto) 2012年3月卒業 (学部)
現在:環境省
研究室在籍時は、高速道路におけるタヌキのロードキルを防ぐためのフェンスについて研究を行っていました。環境省に入省後は東京や大阪で、鳥獣保護管理の制度や事業に関する業務に携わりました。デスクワークが大きな割合を占める仕事でしたが、学生のころに、自らの研究や研究室の先輩のフィールド(現場)で学び、経験したことが非常に役に立ったと感じています。現在は、希少鳥獣であるゼニガタアザラシが深刻な漁業被害をもたらしている北海道えりも町に、自然保護官として常駐し、漁業者や研究者の方々と日々意見交換をしながら、アザラシが入れない漁網の開発やアザラシの生息状況調査などを進めています。地域の多様な関係者と議論しながら、ゼニガタアザラシと地域社会の共存のありかたを探っていきたいと考えています。
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角田裕志さん (Hiroshi Tsunoda) 2012年5月異動 (ポスドク)
現在:埼玉県環境科学国際センター
私は大学院修士課程の時に、当研究室の前身である野生動物保護学研究室に在籍し、ポーランドにおけるオオカミの行動圏利用と活動性を修士論文の研究テーマとしました。そして2010年4月から約2年間、ポスドクとして金子先生の下でお世話になりました。ポスドク時の研究テーマは、ポーランドでの経験を活かして、ブルガリアのキンイロジャッカルの食性研究を行いました。その後、岐阜大学の寄附部門教員を経て、2015年4月から埼玉県環境科学国際センターの研究員として着任しました。現在もブルガリアの研究プロジェクトを中心に金子先生と共同研究を続けさせていただき、特にイヌ科動物の種間関係を中心に研究しています。今後は、新たなフィールドとなった埼玉県においても、中型食肉目を対象とした研究に取り組んでいきたいと考えているところです。
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久野真純さん(Masumi Hisano)2014年3月修了(修士)
現在:レイクヘッド大学大学院(カナダ)
私は修士論文のテーマとしてブルガリアにおけるイシテン(テンの仲間)の食性について研究しました。具体的には、狩猟捕獲個体の胃内容物やフィールドで採取した糞サンプルを分析し、テンの食性を雌雄間および生息地タイプ間で比較しました。姉妹校であるトラキア大学に滞在することで、ブルガリアの学生・研究者・狩猟者・地域住民と直に交流ができたことはとても良い経験になりました。そのほか、在学中は学会や研修等で中国・イギリス・カナダ・北アイルランドへ訪れる機会を得、国際経験豊富な金子先生のもとで多くのことを学ばせていただきました。現在は、カナダの大学院博士課程で森林生態学を専攻し、「樹木の多様性は、気候変動が森林の生態系機能に及ぼす影響を緩和できるか」というテーマに取り組んでいます。将来は野生動物と森林の両方の観点を持ちながら生態系の保全・管理に貢献していけたらと考えています。
所属先等
Google Scholar
レイクヘッド大学 森林生態学研究室
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石井宏章さん(Hiroaki Ishii)2014年3月修了(修士)
現在:パシフィックコンサルタンツ株式会社
人間と野生動物の間に生じる軋轢解消について学ぶためにこの研究室を選び、卒論・修論では外来生物であるアライグマを対象動物として、捕獲技術や生態を学びました。環境に大きなインパクトを与える開発事業に関わりたいと考えて建設コンサルタントの環境調査部門を志望し、現在の会社に入社、主に道路事業や鉄道事業の環境アセスメントに携わっています。公共事業での環境調査は開発事業が環境へ与える影響を最小化するためにはどうすればいいのか?という課題解決のために実施されます。単年度で発注される仕事が多く、限られた期間と予算の中で必要な情報を得られるように計画し、調査を実施し、取りまとめる仕事では、研究室でじっくりと時間をかけて学んだことが活きる場面が多くあります。また、外国での環境アセスメントに携わる機会も少しずつ増えてきており、研究室でイギリス・カナダにショートステイした経験や、英語論文を読み書きした経験がアドバンテージになっていると実感しています。国内だけでなく、世界の環境保全に貢献し、グローバルに活躍できる環境技術者として成長していきたいと考えています。