「中小型哺乳類に接する人々の意識や価値観が地域生態系に与える影響」(Human Dimention for Carnivores)

 食肉目動物への関心や接点を常に持っている人は多くいます。一方で、野生動物に関心は高くても、自然の中で接点を持つ機会はなかなかありません。たまに見る動物の姿は、農作物被害、ロードキルの死体など、通常のその動物の生活と異なる状態ばかりです。姿の見えない動物を、適切に保護することは可能なのでしょうか?このプロジェクトでは、飼育動物、病気の野生動物、野生動物による被害などの野生動物との接点で得た経験が、自分の居住地域や自国の生態系について持っている意識に及ぼす影響について調べ、個々の動物観の形成要因について考察を行うことを目的としています。

Publications

Fukue, Y., Kaneko, Y., Saeki, M., Kanzaki, N., Maruyama, N. 2002. Residents’ attitudes to wild mammals in the satellite cities of Tokyo Metropolitan area. Wildlife Conservation Japan 7(2): 83-97. (in Japanese with English abstruct)

Denbo, Y. and Kaneko, Y. 2009. Are domestic cat owners more conscious of wild cats? Animal Health Technology students’attitudes and knowledge towards wild felid species. Journal of Yamazaki College 1: 61-66. (in Japanese with English abstract)

終了プロジェクト
生態系ネットワークによる中小型哺乳類の生息地保全策と、中型食肉目保護のための市民活動に関する研究

都市のスプロール的拡大や過密化は、樹林地や水辺といった身近な自然環境を減少させ、地域個体群の絶滅を生じさせています。国土交通省国土技術政策総合研究所がオランダの国策を参考に立ち上げた生態系ネットワークプロジェクトのモデル地域(茨城県水戸市を中心とした地域)において、ラージスケールでおこなわれた生物相調査(植生、哺乳類、鳥類、両生類、魚類)にて中型食肉目(アナグマ、タヌキ、キツネ、テン、イタチ、ハクビシン)と小型げっ歯目(ニホンリス)の分布や食性、環境選択や地域住民の意識について調査を行いました。また、身近な自然を野生動物の生息地として保護するためには、地域ぐるみの取組みが不可欠です。東京都日の出町の住民の食肉目に対する経験や価値観を調査し、保護を目的とした試験的なNGO「日の出むじなクラブ」を地域の専門家らと共同で立ち上げ「中型食肉目と共存するためのルール」の試験的な普及啓蒙活動を行いました。

Publications

Kaneko, Y., Hioki,Y., Izuka,Y. and Fujiwara, N. 2001. Habitat network for mammal – Ecological character of Mito as a red fox habitat determined by food habit. Journal of Public Works Technology 43 (10): 38-43 (in Japanese).

Kaneko Y., Shibuya, M., Yamaguchi, N., Fujii, T., Okumura, T., Matsubayashi, K., Hioki, Y. 2009. Diet of Japanese weasels (Mustela itati) in a sub-urban landscape: implications for year-round persistence of local populations. Mammal Study 34: 97-106.

Kaneko,Y., Tsukada,H., Okumura,T., Fujii,T., Sasaki, H., Murakami, T. 2009. Identification of carnivore field signs, camera trap techniques and data analysis - with a distribution survey case study. Honyurui Kagaku (Mammalian Science) 49: 65-88. (in Japanese)