ハクビシンは、特に市街地では人家の屋根裏を休息場とすることがあり、騒音の発生や
糞尿による汚染といった被害をもたらしています。ハクビシンのこのような家屋侵入に
ともなう被害件数は東京都においても年々増加しており、被害対策は急務であると
言えます。その一方で、市街地に生息する1個体のハクビシンがどの程度の頻度で家屋を
利用しているのか、といった、市街地におけるハクビシンの生態については、
実は明らかになっていない点が多いです。ハクビシンの追跡調査も、市街地においては
なかなか先行研究では行われた事例が少ないです。
そこで、東京農工大学周辺の市街地では、ハクビシンはどの程度市街地に依存して生活
しているのか気になり、この修士論文の研究をはじめました。
市街地のラジオテレメトリーの作業はなかなか難しいことも多かったです。例えば、
市街地は家屋が多いために、電波の反射が複雑に発生して、動物個体の位置の特定が
難しい、ということもありました。しかし回数を重ねるうちにこの追跡作業は慣れました。
これからもハクビシンを追いかけまわして、
データを集め、ハクビシンによる家屋侵入被害の防止・捕獲効率の向上に有効な手段を
少しでも考察できたら、と思います。頑張ります!
最後に…深夜に大きなアンテナを担いでいる人間を大学構内や府中市で目撃しても、
どうか怪しい者だとは思わないでください。ハクビシンを追跡しているのです…。
M2 原田朋彦