2017年06月12日
Nature News に、鹿児島のアナグマ捕獲状況についての研究者達の見解記事が掲載されました

6月9日付けで、科学雑誌 Natureに、4月のアナグマ大量捕獲の私の意見記事について、アナグマの研究者達のコメントを踏まえた記事が掲載されました。

Ecologists warn of Japanese badger cull 'crisis' - Nature
Population crash feared amid a fad for badger meat.

IUCN(国際自然保護連合)のRDB(レッドデータ)でニホンアナグマについての執筆を一緒に担当したロシアのアブラモフ先生は、「(日本にのみ生息する)固有の個体群なので、科学的見地からの検討による駆除実施と、そのモニタリングが必要である」とコメントしています。また、ニホンアナグマと同様にアナグマが低密度で生息するスペインの研究者(モリナ-ベガス博士、バルセロナ大)は、「駆除が適切に実施されないならば、IUCNの絶滅ランクをすぐに変更すべきだ」といっています。

記事では、アナグマ駆除の捕獲許可について言及していますが、Natureの記者からの問い合わせへの返答では、鹿児島県は「環境省により害獣と認定されたので、許可はある」、環境省は「(アナグマ捕獲の)許可はあるが、最近の(大量の)捕獲状態は把握していない」といっており、両者の言い分にすれ違いがみられます。

今回のアナグマの捕獲許可にかかわっている法律は「鳥獣保護法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律、管轄は環境省)」ですが、この法律では、アナグマなどの狩猟獣に指定されている野生動物を、過剰に捕獲しないように、つまり「適正な捕獲を行う目的で」設置されている法律です。害獣だから、いくらでも捕獲してもよい、地域絶滅させてもいいんだ、という考えからの捕獲許可ではないと思います。最近、私が行った試算では、ここ数年間で、この地域の70%の個体を駆除してしまったという計算結果でした。