ブタバナアナグマの論文が二つ、掲載されました!これは、科研Bの中国プロジェクトで3年かけて取り組んだ成果です。ブタバナアナグマは、分布域が中国南部と東南アジアのみであることから、研究がほとんどなされておらず、生態が謎の状態でした。この研究では、ブタバナアナグマが、ミミズを主食の一つとして利用することをはじめて明らかにしました。
体サイズが同程度のアジアアナグマ Meles leucrus と分布域が重なっているため、今後、種間関係の調査を本格的に始めることができたらと思っています。頭部の骨格の特徴からは、縦方向に頭部が分厚く咬筋の発達しているアジアアナグマはより肉食に適しており、一方でブタバナアナグマは平たい上顎であることから、昆虫やミミズ食に適しているように思えます。アジアアナグマがユーラシア全体にわたる分布拡大に成功した理由は、肉食、つまり、ネズミやウサギなどのげっ歯類の利用も可能だったからなのでしょうか?
Zhou, Y., Chen, W., Kaneko, Y., Newman, C., Liao, Z., Zhu, X., Buesching, C.D., Xie Z., Macdonald, D.W. 2015. Seasonal dietary shifts and food resource exploitation by the hog badger (Arctonyx collaris) in a Chinese subtropical forest. European Journal of Wildlife Research 61:125-133.
Zhou, Y., W. Chen, C. D. Buesching, C. Newman, Y. Kaneko, M. Xiang, C. Nie, D. W. Macdonald, and Z. Xie. 2015. Hog badger (Arctonyx collaris) latrine use in relation to food abundance: evidence of the scarce factor paradox. Ecosphere 6(1):1-19