千葉県印西市の“そうふけっぱら”を訪問してきた。そうふけっぱらは、40年前から進められたニュータウン開発時の粗造成時に既存の表層土をはがれ、その後近年の景気停滞によりときどき人間による管理をうけながら、樹木の茂りにくい特殊環境の草原のまま維持されてきた。その結果、関東地方に分布する草原性の植物の約24%が生育する多様性が維持され、ホンドキツネや希少猛禽類も生息し、その餌となるげっ歯類(ノウサギやネズミ類など)が豊富に生息していることがうかがえる。全国的にここ半世紀で草地環境が激減している中で、そうふけっぱらは多様性ホットスポットとなっている。地元で活動する「亀成川を愛する会」は、地域の自然環境の保護活動を行っている。私は、来月のキツネを象徴種とするこの会主催のシンポジウムに招かれることとなり、そのための事前準備として現地をみにいってきたのだ。訪れた印象は、関東平野の、都心から電車で30分ほどの地域に、このような広大な草原が維持されていることに感動した(写真)。千葉県は、本州の中で例外的にキツネが少なく、また個体群への分散個体の供給源は、西部は東京大都心によりさえぎられているため、北部の茨城県から利根川を超えて渡ってくるしかない。そうふけっぱらでも、長い間キツネは見られなかったそうなので、開発によりいったん動物の地域絶滅が起こった後に、長い時間をかけてもどってきたのだろう。今後、開発の方向性によっては、開発の停滞した土地が民間へ転売され無軌道な開発にさらされる可能性もあり、草原がなくなる可能性が高いという。そうふけっぱらには昔から伝わるキツネの昔話もあり、多様な自然の中で暮らす、現代の「豊かな」生活を、ぜひ守っていってもらいたいと思う。
シンポジウムの詳細
“~奇跡の原っぱ~そうふけっぱらのキツネを守ろう!
2月9日(土)13:30-16:00
会場:イオンモール千葉ニュータウン3F (北総線 千葉ニュータウン中央駅 徒歩5分)
参加費:無料
主催:亀成川を愛する会 http://blog.livedoor.jp/kamenarigawa/ (申し込みは事務局へ)
NACSJ(日本自然保護協会)